喉の下げ方!本当に正しい方法を教えます!
みなさん、こんにちは!車田和寿です。
今日のレッスンでは、早速テクニックの話をしていきたいと思います。最初にするのは、喉の下げ方です。
正しい歌い方を学ぶ上では、この喉を下げるという動作が非常に大事になりますが、正しいやり方というのはほとんど知られていません。僕も38歳になるまで、その方法を知りませんでした。
この喉を下げるというのは、間違った方法でやってしまうと単なる癖にもなってしまいますので、本当にやっかいな問題です。
今日は喉を下げる事がどうして大切なのか、そしてどのようにして下げたらよいのかを解説していきます。
それでは早速本題に入りましょう!
喉を下げるとは?
ではまずは、喉を下げるというのがどういう事なのかを簡単に説明しましょう。
喉を下げるというのは、読んで字のごとく喉を下げる事になります。具体的には、喉仏を下げるという動作になります。
女性は分かりづらいですが、男性の方はぜひ鏡の前で自分の喉仏を見てみてください。
喋ったり歌ったりすると、この喉仏が少し上下に動く事が分ると思います。この喉仏を下げる事を、喉を下げると言います。
まずはこれを抑えましょう。
どうして喉を下げるのか?
では、どうして喉を下げるのか、その理由を見ていきましょう。声というのは声帯が振動する事で出ていますが、この声帯を伸縮させることで、音の高さが変わります。僕たちが歌う時は、この伸縮で音の高さというものを作っているんです。
そして高い音を出すときは声帯をより伸ばしてやる必要があります。これはゴム風船に空気を入れて空気を出しながら口の部分を引っ張ってみてください。そうすると音が鳴ると思いますが、その口を引っ張るとその音は高くなります。
高い声が出る仕組みもだいたいこんな感じだとイメージしてください。
このように声帯を伸ばすことで高い音が出るんです。
ではどのようにして声帯を伸ばせば良いのか、と言う事になりますが、そこで登場するのがこの喉仏と言う奴です。
実は声帯というのはこの喉仏の骨にくっついています。そしてこの骨というのは実は前の方に倒れる動きをするんです。
前の方に倒れる事で声帯が引っ張られて伸ばすことができるというわけなんです。
この状態を喉が下がった状態と言っています。
僕たちは歌うために声帯を伸縮させる必要があるので、喉を下げなければいけないんです。
喉を下げるもう一つの理由
喉を下げる理由はもう一つあります。それは喉が下がる事で、喉の奥にわずかながらスペースが生まれる事です。
声楽家は自分の体を楽器として歌っています。なので、自分の体を楽器へと作り上げていく必要があるのです。その時、当然音が響くスペースというものが必要になります。これは大きければ大きい程良いです。グランドピアノでも家庭用のものよりもコンサートホール用の大きなものの方が響くのと同じです。
声は頭の骨の中にあるスペースなどにも響きますが、これは頭蓋骨なので、いくら頑張っても大きくすることはできません。太ると響くスペースが付くかというと決してそうではなく、これもも外側に肉が付くだけで、内部の響くスペースが広がるわけではありません。
そんな僕たちの体の中でトレーニングによって意図的にスペースを作る事ができるのが、この喉です。
喉を下げる事で実際にほんの少しだけ奥の方に響くスペースができるのです。そしてこのスペースを使う事で、声が徐々に丸くて深い声へとなり、さらに大きな音量がでるようになっていきます。
簡単に説明しましたが、声帯を伸ばす事、そして喉の奥のスペースを使う事が喉を下げる事の大きな理由になります。
ちなみに喉の奥にスペースができている状態の事を僕は喉を開けると言う事もあります。言い方は違いますが、基本的には同じ事です。
喉の下げ方
さてそれでは喉の下げ方を教えましょう。実は喉というのは舌の筋肉と繋がっています。この舌の筋肉というのはすごく強い筋肉なので、簡単に動かすことが出来ます。
そしてその筋肉を動かすことによって実は簡単に喉を上げ下げする事が出来るのです。
ためしに鏡を見ながら喉を思いっきり舌を出してみてください。その時喉仏の動きに注目してください。女性の方は少し喉仏の位置に手を当てて動きを確認してみてください。
舌をおもいっきり出すと、喉が上に上がったのが分かったと思います。
ではその舌を今度は奥に引っ込めてみてください。そうすると喉仏が下がります。
じつは喉というのはこのように簡単に下げる事が出来るのです。
ちょっと確認するために、鏡の前で舌の出し入れを繰り返してみてください。喉仏が上がったり下がったりすれば確認はOKです。
実際に少なくないオペラ歌手がこのように舌の筋肉を使って喉を下げて歌っています。
でもここまで説明してきてなんなんですが、これは間違いです。舌の筋肉を使って喉を下げるのは簡単なので、それに頼ってしまいがちなんですが、これはやってはいけません。
舌を使って喉を下げる
その理由を今から説明したいと思いますが、理由は単純です。実は舌を押し下げてしまうと、舌根が喉の奥に入り込み、結果として喉のスペースを狭めてしまうからなんです。
喉を下げる目的は、スペースの確保にあると言いましたが、舌を使って下げてしまったんではスペースが広くなるどころか舌が邪魔をしてかえって狭くなってしまいます。
ちなみにこのように舌を下げて歌っている人の声をドイツ語ではKnödelと言いますが、プロの歌手の中にもこのようにして歌っている人はいました。テノールのエルンスト・ヘフリガーとかバスのテオ・アダムなどといった歌手にはそのような癖がありました。
このチャンネルでは時々過去の歌手の名前を出すことがあると思いますが、それは彼らを批判する事が目的ではありません。あくまでこういう出し方をすると、こういう声になるというイメージをしてもらうためのものです。
人間である以上どんな歌手にも癖があります。大事なのは、そういう癖とどのように向き合って音楽をしていき、優れた音楽家になれるかです。悪い発声の例として挙げたからといって、それがそういった歌手の全てを否定するものではないと言う事はぜひ頭に入れておいてください。
ただ勉強する上ではそういう癖というものをしっかりと認識してできるだけ取り除く必要がありますから、そういった癖を聴き分けられる耳も作らなければいけないんです。そのためにあえて名前を出しています。
さてちょっと脱線しましたから、話を戻しますが、このように舌を使って喉を下げると、かえってスペースを下げてしまうので、間違った方法となります。
では、どうやって喉を下げれば良いのか。これは言うのは本当にもったいないんですが、大事なことなので、教えます。
首の筋肉を使う
喉を下げる正しい方法というのは、首の筋肉を引っ張って下げると言うことになります。首の両脇にある筋肉を斜め下の方向へと引っ張る事で、舌の筋肉を使うことなく、喉を下げる事が出来るんです。
実は舌というのは、声のためには、全部出してしまった方が良いんです。舌が全部でると、喉の奥のスペースを最大限まで使う事が出来るからです。
でも舌の筋肉と喉はつながっているので、舌を出すと喉も上がってしまいます。そうなるとスペースも狭くなります。
じゃあ試しに舌をだしたまま、首の筋肉を引っ張ってみましょう。
どうでしょうか?喉が下がったのが分るでしょうか?舌は出したままなので、舌の筋肉を使って喉を下げることはできません。
代わりに今僕が使ったのが首の筋肉です。
この筋肉を使う事で、喉を下げる事が出来るんです。しかも舌を出したままでも下げられるので、最大限までスペースを有効活用する事が出来ます。
この状態から、すこしずつ首を引っ張る筋肉を鍛える事で、遮るものが何もない癖のない声が出る事になります。
もちろん最初はうまくできないと思いますが、鏡を見ながら、舌を出したまま首の筋肉を引っ張って喉が下げられるかやってみてください。
ちなみにこれをやってもすぐに良い声は出ません。なぜなら声の鳴る位置というのが、普段話している時よりも低い位置になるので、声帯がうまく閉じないからです。
でも練習していくとその新しく覚えた位置で、声帯がうまく閉じるようになってきます。これは比較的長期的なプロセスになると言う事は頭に入れておいてください。
と言う事で、今日は喉の下げ方の話でした。舌ではなくて首の筋肉を使って喉を下げてくださいね。ちなみに昔の大歌手の多くが歌う時に首が太くなるのはこれが原因です。
このチャンネルではこれからも、どんどん声楽に関する情報を発信していきますから、チャンネル登録してどんどん勉強してください。
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